田中社長
私が働いているのは25年ほど前からですが、皆さんのおかげで美光は創立51周年を迎えることができました。会長に創立当初のことを聞きたいのだけど、どんな想いで商品をつくっていたんですか。
田中会長
私は、「日本一のパンツ屋になろう!」という意気込みで起業しました。お客さまが欲しいものをつくって満足させるのは、マーケティングの神髄。着心地が良くて身体にやさしい天然繊維の肌着をお届けしたいと強く思っていた。この気持ちは、今も変わることがないね。
田中社長
ランジェリーではレース部分にナイロンなどを使うこともあるけれど、美光が使っている素材は、綿をはじめとする天然繊維が9割以上を占めますね。
田中会長
そう、使うのはあくまでも天然繊維。綿、シルク、麻といった天からの贈り物は身体に良いし、身に着ける人の健康的な暮らしや心のゆとりにつながるものなんです。
田中社長
美光では、“繊維の宝石”と呼ばれる海島綿でつくった肌着も変わらない人気商品ですね。
田中会長
海島綿はすばらしい素材ですよ。繊維の長さと光沢はシルクのようで、カシミアのような肌触りがあり、多くのお客さまに愛され続けています。これからも大切に育てていきたい商品だね。
田中社長
私には、これまで会長が大切にしてきたことを継承していく使命があると思っています。天然繊維のほかにも、久留米織や高島ちぢみといった伝統的な織物もその一つです。
田中会長
日本の伝統的な織物で仕立てたナイトウェアやアウターのほかに、古くからの防寒着“はんてん”もお客さまから毎年好評をいただいて嬉しい限りだね。
田中社長
ありがたいことに、天然繊維や伝統織を使ったものづくりに共感をいただくパートナー企業も少なくありません。心強いことです。伝統織は、高齢の職人さんが技を伝承しながらつくり続けているものです。これからは、そういったものづくりを支える職人さんの存在や技についても情報発信していきたいと思います。
田中会長
そうだね。美光を支えてくれているのは、ものをつくる工場であり職人の皆さんたち。そのことを忘れずに、日本の確かな技術をもっと広めていきたいね。
田中会長
私は美光を起こしてから、世のため人のために動くことを大切にしてきました。人と自然を愛して、感謝の気持ちを大切にすること。「蒔けば生え 蒔かねば生えぬ 善悪の 人は知らねど種は正直」という言葉があります。人とのご縁を大切にすれば、必ず信頼関係という種が芽生えるものだと私は実感しているんです。
田中社長
ずっと会長の背中を見てきて、私も感謝の気持ちを大切にすることを学びました。
田中会長
長年ご愛顧いただいているお客さまからは、嬉しいことに「これからも頑張ってください」と、手紙や電話をたくさんいただきます。これは、決してお金で買うことはできない信用だし、美光の誇りです。
田中社長
本当にありがたいことですね。私は、社員にも心から感謝しています。今年は、墨田区から江戸川区へ本社社屋の移転をしました。自社製品を管理する倉庫もあるので、引っ越し作業は本当に苦労しましたけど、社員みんなで話し合いながら段取りをして、総出で力を合わせてくれました。
田中会長
正直、本当にやりきれるのかな……と思ったけれど、みんなよく頑張ってくれたました。大変だったけど、改めて美光の結束力を実感したね。みんなに心から感謝です。
田中社長
社屋の移転もあり、今は美光にとって変化の時ですね。新型コロナウイルスの影響を受けて、アパレル業界も変化の時を迎えています。大変な出来事ではありますが、日本のものづくりを見つめ直して、日本製の力強さを再認識する機会になったと思います。
田中会長
美光は半世紀以上、日本のものづくりにこだわってきた。そして、これまで積み重ねてきた出会いとご縁がある。
田中社長
これからも人とのご縁を大切にしながら、次の50年に向けて日本のものづくりを支えていきましょう。